保険代位とは

保険代位とは、損害保険での保険事故の発生によって保険金が支払われたとき、保険契約者がもつ権利を保険会社に移転させる制度のことです。

保険代位には、被保険者の利得を阻止するという目的もあります。

火災保険を例にとると、家屋の焼失後に残った物に対しての所有権、また放火の場合、犯人に対しての損害賠償請求権が保険会社に渡るということです。

商法上、被保険者が権利移転の意思表示がなくても、必然的に権利は移転することになります。

しかし、残存した物を処理しなければならないなど、代位によって保険会社が不利益になる時は、代位の権利を行使しなくてもよい、と保険約款では規定されています。

保険代位は、「残存物代位」「請求権代位」という2つの保険代位があります。

残存物代位とは、保険事故後の残存物に対して被保険者の権利を移転することをいいます。

保険対象物が「全損」し、保険会社が保険金を「全額」支払った場合に残存物代位が発生します。
これは、残存物によって保険契約者が損害額を上回った利益を得ることを禁止すること、および、保険会社が損害額を算定することを省略するためです。

「分損」の場合は、残存物の価値を控除した分の保険金が支払われるので、残存物代位は発生しません。

請求権代位とは、放火事件などに見られる、犯人(第三者)に対する損害賠償請求権の移転のことをいいます。
これは、損害の被害レベルに関係なく、保険金が支払われた場合は請求権代位が発生します。

被保険者が保険金と損害賠償金を二重取りしないようにするため、また、第三者にしっかりと賠償請求を行うために請求権代位が行われます。

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