生命保険の質権設定・差し押さえについて
生命保険では、保険契約の「質権設定」や「差し押さえ」をすることができます。
●生命保険の質権設定とは
生命保険の契約を担保として、銀行から融資を受けることができます。
保険契約に対して質権を設定することにより、もしも債務者が返済不能となってしまった場合も、銀行は保険契約から弁済が可能です。
生命保険の質権設定は、保険金請求権や解約返戻金請求権などの保険契約対して、別々に質権を設定するのではなく、すべての権利に対して一括して質権設定を行います。
なぜなら、保険金請求権のみ質権設定をした場合、保険の契約を解除されてしまうと、銀行が保険金から弁済を受けることができないためです。
また、解約返戻金請求権のみ質権設定をした場合、保険事故が起こってしまったときに、解約返戻金が受け取れなくなってしまうからです。
●生命保険の差し押さえとは
生命保険の保険金請求権や解約返戻金などの権利は、「差し押さえ」ることが可能です。
差し押さえられると、債務者は保険金や解約返戻金を受け取ることができません。
逆に、債務者は保険金や解約返戻金から弁済から弁済することができます。
差し押さえ手続きは、以下の通りです。
1 債権者が裁判所に対して、差し押さえの申し立てを行う
2 裁判所が債務者に対して、保険金・解約返戻金などの処分を禁止することを命令する
3 裁判所が保険会社に対して、保険金・解約返戻金などの支払いを禁止することを命令する
4 債権者は取立権を取得する
5 債権者が保険会社に対して、権利を行使する
6 保険会社が債権者に対して、支払いを行う。
差し押さえの場合は、保険金や解約返戻金など状況に応じて個別に行うことができますが、権利を一括して差し押さえる方が無難といえます。