保険金が不払いにならない場合
損害保険では重過失があった場合、免責事由に該当するため保険金は支払われません。
重過失とは、少しの注意さえ払えば事故の発生を予想できたのにもかかわらず、事態を漫然と見過ごしてしまった場合をいいます。
免責事由とは、保険会社が保険金の支払い責任を免除される理由のことです。
損害保険では、保険の種類により免責に違いがあります。
【自動車保険の場合】
自動車保険では重過失があっても免責にならず、保険金が支払われる場合があります。
交通事故の場合は対人事故において被害者を救済するという目的のため、自動車保険では免責扱いされません。
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)において、
「保険契約者または被保険者の悪意によって生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる」(自賠法14条)
と規定されています。
そのため、交通事故では重過失があっても保険金が支払われますが、悪意を持って故意に交通事故をおこした場合は、規定どおり免責となり、保険金が支払われることはありません。
【火災保険の場合】
火災保険では重過失があれば免責となり、保険金は支払われません。
過去には以下の判例があります。
○電力会社の職員から漏電の可能性を再三指摘されたのに修理しなかった
○段ボール箱の近くに火のついたタバコを放置した
上記の理由で火災が発生した場合、重過失とみなされ免責に該当します。
しかし、火災保険においては重過失と認定された事例が少なく、火災保険で免責になるのは放火など、故意に近い場合がほとんどです。