損害保険・被保険利益とは
被保険利益とは、保険の目的(保険の対象物)と被保険者(保険金の受取人)の間に存在する、利害関係のことを指します。
損害保険は、保険事故の発生によって損害を受けるおそれのある利益を示した被保険利益が必要とされています。
例えば、火災が発生した際、家の持ち主は家を失うという不利益が発生します。
しかし、近隣の住人には何の不利益も発生しません。
つまり、家の所有者には被保険利益が存在しますが、近隣の住民には無いといえます。
この近隣の住民のように、被保険利益のない損害保険契約は無効となります。
被保険者利益は、保険金詐欺などの犯罪行為を防ぐために規定されています。
また、被保険利益は1つの保険の目的に対して、複数の契約をしても良いと認められています。
例えば、火災保険の場合をみると、保険事故の発生時には、家の持ち主は家を損失し、その家屋を担保にして融資をおこなっていた金融機関は、担保物権の破損という損害をこうむります。
このように、家の所有者・融資していた金融機関のそれぞれに、被保険利益が存在するため、両者とも火災保険に加入することができるのです。
被保険利益が認められるためには、いくつかの条件が必要です。
●被保険利益の成立要件 その1
被保険利益は、金銭として見積もることが可能なものであること。
(親の形見など、思い出として本人の精神的価値のみであるものでは、被保険利益として認められません)
●被保険利益の成立要件 その2
被保険利益は、法に基づいたものあること。
(麻薬など違法なものには被保険利益が成立しないため、保険契約は無効です)
●被保険利益の成立要件 その3
被保険利益は、保険事故の発生時に必ず存在していること。
(保険事故の発生時までに被保険利益が確定していない場合でも、保険契約は無効となってしまいます)
ただし、契約の締結時の段階において被保険利益が存在していなくとも、保険事故の発生時に確定していれば良いとされています。